「アコーデオン通り」

石で出来た町は寒い
ジッとしていると足元から寒さが込み上げてくる
日曜日の朝、散歩の途中
あんまり寒いのでカフェに向って角を曲がった

多分学生だろう
そんなに上手くないアコ-ディオンを
彼は楽しそうに弾いていた
かじかんで指が動かないんだろうなと
ひいき目に考える事にした
熱のこもった演奏が気持ちをやわらげてくれた
僕は寒くなくなって知らぬ間にニコニコ顔
カフェのために用意しておいたコインを
彼の前に落とし「ありがとう」と言ってまた歩き始めた

遠ざかっていく音はどんどん調子っぱずれになっていく
本当に下手だだったりして?
そう考えるとまた頬がゆるんできた